猫になりたい
わたしは何か嫌なことがあったときに、「猫になりたい」と言うようにしている。
具体的に言えば、
・彼の家から帰りたくない
・会社に行きたくない
などの場面。
猫になったら、朝起きなくてもいいし、仕事に行かなくてもいい。
猫たちの会議に顔を出し、最近の野良事情を話し合う。たまにみんなで旅行のように、気ままに遠出をしたりするのだ。
とは言うものの、実際に猫になったときのことを考えてみようと思う。現実的に。
まずは休む連絡を
平日だったとする。
まず、会社をしばらく休むことを伝えなければならない。
上司からすれば、わたしが猫になってしまったことなど知る由もない。出勤してこなければ、なぜだ?と困ってしまうだろう。とりあえず会社員として、休む場合は伝えるべきだと思うので連絡を入れたい。
普通だったら電話を入れるが、きっとわたしは「にゃー」しか言えない。
なので、風邪で声が出ないとでも言って、メールで連絡をするしかない。ごめんなさい。
さて、移動しよう
猫になりせっかく会社を休んだので、彼に会いに行こうと思う。
わたしの家から彼の家までは、電車かバスで移動しなければ到底たどり着けない。猫ならなおさらだ。
電車に乗っている猫が、たまーにtwitterなどでリツイートされていたりする。
電車に乗れるとは思うが、やはり写真などをSNSで発信されてしまうだろう。それは仕方ないが、一番怖いのは捕まえられてしまうことである。
捕獲されてしまっては、猫になった意味がない。
捕まらないようにうまーく猫の身体能力を使って逃げるしかない。
また、電車賃はお札をくわえていって、払おう。「にゃー(釣りはいらにゃいぜ)」
彼の家に到着ですが
彼の家は駅からさほど遠くないので、無事にたどり着いた。
しかし、重要な問題が。
「わたしは猫になったんです」とどうやって伝えたら分かってもらえるのか?
最重要といってもいいだろう。
なにせ猫語(鳴き声)しか話せないので、言葉では伝えられない。筆談やパソコンは夢が無いのでNGとする(会社への連絡でメールを使っているので設定的には使えるが、夢がないので一旦忘れて)。
どうやってわたしだと気づいてもらうかといえば、冷蔵庫からビールを出して開けて欲しそうにするか、ピロウズのDVDをくわえてカリカリするくらい。
それに加えて、わたしとの連絡がとれないことできっと気づくと思う。思いたい。
信じてもらえるかは別として。
せっかくなので楽しみたい
猫になったということは、その他大勢の猫と意思疎通ができる。はず。
彼の家の周りには猫がいる。
三毛のような模様の猫が兄弟でいたり、灰色の猫、白黒ハチワレなどが住んでいる。その猫たちが普段一体何を話しているのかを知りたい。また、週末にいなくなるのはなぜなのか?会議でお出かけですか?野良ですか?
突然現れた新参者が仲良くしてもらえるかは謎だが、もしかして猫の中にも、わたしのように人間から猫になった猫がいるかもしれない。そしたら、猫具合はどうですか?とか、食生活の違いには慣れましたか?なんてどうでもいいことを聞きたい。
あとは、にぼしを食べたり、人間(彼)の膝の上で眠りたい。
考えてみた結論
猫になりたい。
それは叶わないが、わたしがしたいことの本質はそこではない。
猫のことを知りたいのと、ただ単にぐうたら(良く言えばのんびり)したいだけなのだ(猫はぐうたらしているかというのは、猫にならないと分からないので失礼かもしれない)。
上記の話だと、猫になりっぱなしなので、いつか人間に戻ることも現実的に考えてみたいと思う。
大体、「現実的に」猫になったことを考えるというのは矛盾があるけど。
とりあえず、猫と暮らしたいね。